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急性ストレス障害とは

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■急性ストレス障害とは?

急性ストレス障害は、強烈な精神的ストレスやトラウマ的な出来事を経験したことで、心にダメージを受ける状態を指します。

この状態では、体験した出来事がフラッシュバックとして鮮明に思い出されたり、激しい不安、頭痛、不眠といった症状に見舞われることがあります。

この障害は、トラウマが発生してから4週間以内に現れ、発症から4週間程度で解消されることが多いですが、適切な治療がない場合、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に進行するリスクがあります。心身の不調を感じた場合は、早めに専門の医療機関へご相談ください。

 

急性ストレス障害とPTSD(心的外傷後ストレス障害)の違い

急性ストレス障害とPTSDの違いは、主に症状の持続期間になります。基本的に急性ストレス障害が4週間以上持続した場合にはPTSDと診断することになります。

急性ストレス障害の症状

 

急性ストレス障害は、トラウマとなる出来事を経験した後、4週間以内に症状が現れ、その症状が4週間以内に自然と消失することが一般的です。これはPTSDとは異なり、症状が短期間で解消されるという点が特徴的です。

主に以下のような症状が見られます。

■原因となった出来事がフラッシュバックする(よみがえる)
■気分が落ち込む(抑うつ症状)
■今まで楽しめていたことが楽しめなくなる
■幸福感や愛情尾感じなくなる(乏しくなる)
■ぼーっとする
■原因となった出来事(場所、状況)を避けるようになる
■眠れない(不眠、何度も目が覚める)
■イライラしやすい
■自分が自分である感じがしない(解離症状)

など

 

ストレスで身体が悲鳴を上げる前の前兆とは…?

急性ストレス障害など、ストレス関連の疾患には身体の初期のサインに注意することが重要です。以下のような症状が現れた場合は、早期に専門家に相談することをお勧めします。

■疲れやすい
■だるい
■気力がわかない
■肩や首がこる
■めまいがする
■目が疲れやすい
■音に対して敏感になる
■なかなか眠れない
■眠りが浅い
■直ぐに目が覚めてしまう
■食欲がない
■胃がもたれる
■吐き気・嘔吐
■下痢や便秘を繰り返す
■心臓のドキドキが治まらない

など

急性ストレス障害の原因

急性ストレス障害の原因は、生に危険を感じるような極端な事態を体験または目撃した場合に起こります。例えば、交通事故、虐待、戦争、自然災害、犯罪の被害(性的暴行含む)などが挙げられます。

■急性ストレス障害の診断

急性ストレス障害の診断は、主に米国精神医学会が定めた診断基準(DSM)に基づいて行われます。この基準では、症状を以下の5つのカテゴリーに大別し、それらをさらに14項目に細分化しています。診断には、14項目中9つ以上の症状が該当することが条件となります。

主な症状カテゴリー

1.     侵入症状

o   トラウマとなる出来事に関する記憶が突然フラッシュバックすることが含まれます。このような記憶は患者さんの意思とは無関係に何度も繰り返され、強い苦痛を伴うことがあります。

2.     陰性症状

o   幸福感や愛情、感謝などの陽性の感情が感じられなくなる状態を指します。日常の出来事に対して無感覚になり、他人との関係性においても疎外感を抱くことがあります。

3.     解離症状

o   自分が現実の世界から切り離されているように感じたり、現実感を失うことがあります。例えば、周囲の出来事がまるで他人事のように感じられたり、自分自身を客観視しているような感覚を覚えることもあります。

4.     回避症状

o   トラウマとなった出来事について思い出したり考えたりすることを極力避けようとします。また、その出来事に関連する人々や場所、状況を回避する行動も見られます。このような行動は日常生活に支障をきたす場合があります。

5.     覚醒症状

o   些細な音や動きに対して過剰に驚いたり、常に周囲を警戒している状態が続きます。この状態は睡眠障害やイライラ感、集中力の低下を伴うこともあります。

 

 

診断の条件

急性ストレス障害と診断されるためには、症状がトラウマとなる出来事の発生から3日~1カ月間持続している必要があります。さらに、その症状が患者さんにとって強い苦痛をもたらし、日常生活や仕事、人間関係に支障をきたしている場合に限ります。

急性ストレス障害の診断では、患者さんの症状だけでなく、背景にあるトラウマの内容やその影響も考慮されます。そのため、専門医との信頼関係を築きながら詳しい問診を受けることが重要です。適切な診断と早期治療を受けることで、症状の慢性化を防ぎ、心身の回復を目指すことが可能です。

急性ストレス障害の治療

急性ストレス障害の治療では、症状に合わせて薬物療法や心理療法を適宜行います。特に強い不安や恐怖を感じる場合は抗不安薬の処方が、不眠が問題の場合は睡眠薬が用いられることがあります。加えて、カウンセリングを通じて心理的なサポートも行います。治療を怠るとPTSDへの移行リスクが高まるため、しっかりと治療を行っていく必要があります。

 

監修:こころとからだのケアクリニック人形町  院長 益子 雅笛(ますこ みやび)